子育て世帯訪問支援事業(2024年度新規事業)の今後の制度設計・改善のための調査研究 〜先行事業の養育支援訪問事業の課題抽出を通して〜 ー「市町村間の『巨大格差』」と「子どもの心の回復」に焦点が当てられていない実態ー
日本財団からの助成を受け、養育支援訪問事業の全国自治体にアンケート調査と10自治体へのインタビュー調査を実施しました。
<コラム記事>
本調査に関して、コラム記事を公開しています。併せてご覧ください。 ▼ 追い詰められているこどもの心の回復を図るには〜昨年度の全国調査(インタビュー調査)から見えてきた課題〜(2024年5月10日)→こちら ▼ 今、苦しんでいる子どもの回復に求められる行政の取り組みとは〜昨年度の全国調査(インタビュー調査)から見えてきた課題〜(2024年3月15日)→こちら
東京都における養育支援訪問事業の改善課題に関する調査研究 2021年度
養育支援訪問事業の育児・家事援助は、親子分離の決定には至らない不適切な養育状態にある子どもへの事業です。日本財団から助成を受け、東京都の全自治体子ども家庭支援センターの養育支援訪問事業〈育児・家事援助〉に関するアンケート調査と8自治体へのインタビュー調査を実施しました。
<ページと要旨>
P.1 はじめに ・調査研究の目的 ・調査目標…量的調査―西郷 事例調査―寺出 P.3 アンケート ・回収 62自治体のうち56自治体から回収(回収率は90%) P.4 養育支援訪問事業の実施割合 ・区市はほぼ100% 町村は4割 P.8 訪問の条件 ・親の在宅時のみが約6割 ・親の不在時も訪問できる3割…要検討 P.8 支援内容 ・掃除・洗濯・調理・子どもの世話が8割以上 P.9 養育支援訪問事業を実施 ・しかし、6自治体は育児・家事援助の支援は実施せず P.13 研修 ・行政による研修費なしが半数・行政による研修実施は17自治体・年1回56% P.14 研修内容 ・事業の意義と目的・児童虐待の予防・守秘義務・支援の実際…要検討 P.15 事業の対象 ・要支援家庭90% ・特定妊婦等産後短期間90% P.20 訪問期間 ・3か月内21%・6か月内11%・1年内19%計51% ・1年以上33% P.21 要支援家庭の年齢制限 ・小学校入学前まで19% ・18歳未満61%…実態は? P.29 事業の評価 ・極めて有効と有効を合わせると、ほぼ100% P.30 事業実施上の問題点 ・訪問支援者を十分に確保出来ず50%・行政内部での事業理解が不十分13%・行政担当者や訪問支援者の研修が不十分10%・予算不足10% P.34 8自治体に子どもの精神的回復に最も寄与出来たと思われる12事例をインタビュー P.42 12事例の概要 ・不適切な養育12事例・ひとり親9事例・生保7事例・親の精神不安定7事例・支援の期間5年以上5事例(1年未満で終了3事例…要検討) P.44 事例調査―まとめ…・厚労省ガイドライン「中期支援型による支援を想定…、6か月から1年程度の中期的目標を設定…。」…子どもの変化・親の変化・親子関係の変化 P.46 芹沢俊介の『養育の理論』…子どもは誰か(「受けとめ手」)に無条件に受けとめられることで安心・安定する。その「受けとめ手」の不在が児童虐待である。しかし、別の誰かがその子どもを受けとめ続けると、子どもは精神的に回復することが出来る。 P.48 「9年間支援」…ゴミ屋敷・母のヤングケアラー・中学時に「受けとめ手」と出会う。 P.55 「数年間支援」…親自身が子ども時代に被虐体験―親への手厚い関りが必要…要検討 P.57 「7か月間支援」…施設で育つ―「受けとめ手」との出会い無し。親への関り必要 P.59 考察―子どもの精神的回復に有効な支援とは、子どもが心底信頼できる訪問支援者と出会えて、安定するまで受けとめ続けてくれること。最低でも2年は掛かる(P.60)<コラム記事>
本調査に関して、コラム記事を公開しています。併せてご覧ください。 ▼ 21年度4月開始の調査研究の目指す意図・問題意識とは〜温もりの中に子どもが居続けられること〜(2021年5月20日)→こちら ▼ 2021年度東京都養育支援訪問事業の育児・家事援助調査研究報告書から見えてきたこと〜不適切な養育下の子どもたちの精神的回復を保障していく取り組みとは〜(2022年5月9日)→こちら